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高野山の山上で製造 生身供としても使われている【角濱ごまとうふ総本舗】角濱 功治さんにインタビュー

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世界遺産・高野山上で製造。総本山金剛峯寺をはじめ山内の各寺院にお納めており、特産品として明治以降、たくさんの参拝客のお土産としてもご愛用されている【角濱ごまとうふ総本舗】の角濱功治さんにインタビューをしてきました。

Q 自己紹介をお願いします

A 角濱功治と言います。高野山で胡麻豆腐作っています。元々は高野山の山の上というよりはその周辺に住んでまして、ひいおじいちゃんが、そこで作った野菜や大豆などを高野山に持ってきて、お寺さんに納めさせていただいていました。

 明治半ばから後半にかけて高野山上に住むようになって、お寺さんに豆腐を作ってお届けするようになった。豆腐屋さんとしての歴史はそこからですね。昭和の頭ぐらいから「胡麻豆腐」に着手しまして、今では胡麻豆腐がメインになっています。

Q 胡麻豆腐の歴史について教えてください

A 「胡麻豆腐」の歴史は諸説あって、どこがスタートかは実は分かりません。ただ、僕らはやっぱり「弘法大師空海が中国から持って帰ってきた」というのが最初なんじゃないかなと思ってるんです。

 なぜその頃から「胡麻豆腐」があったのか。修行をされているお坊さんが食べる精進料理は肉や魚を使いませんので、野菜中心になります。ミネラルやビタミンはたくさん取れますが、タンパク質が取れないんですね。「タンパク質をどうやって摂るんだ」となったときに大豆から摂る。要はお豆腐です。豆腐と胡麻から作る「胡麻豆腐」でタンパク質を補っていたんじゃないかなと思います。

 胡麻は一粒にたくさんの栄養が入っていますが、和え物の上にパラパラッとかかっているくらいでは栄養が取れない。胡麻の芯の部分の栄養をうまく吸収しよう思うと、まず擦りつぶさないといけない。擦りつぶしたものは粉っぽくなって直接食べるのは難しい。じゃあ、そこへお水を入れて、胡麻の栄養分が混ざったお水をギュッと絞って吉野葛で固めて食べることによって、胡麻の栄養全て吸収できるようにしようと、昔のお坊さんが考えはった健康食じゃないかと思います。

Q 弘法大師にお出ししている(生身供)胡麻豆腐は同じものですか?

A 全く同じもの。同じ釜で炊いて水槽につけて冷やし固めて、奥ノ院のお大師さんのお食事を作られているところに持って行かせていただいています。

 僕らにとってお大師さんって・・・さっきから「さん」付けで、「様」じゃないんですけどね(笑)割と身近に感じているところはあって、同行二人じゃないですけど、本当に常にお大師さんが横にいてくれてるっていう感覚でいてます。でも、畏敬の念や尊敬は必ず持ってる。軽んじてるわけじゃなくて、親しみを込めて「お大師さん」って呼んでます。

 お大師さんは僕らの心の拠り所みたいなところがあります。お大師さんにいつも2個持っていくんです。胡麻豆腐を5センチぐらいの幅の定規で切るんですけどね、この2つを切るときはね、やっぱりちょっと背筋が伸びる。他のものを悪く言っているんじゃなくて、僕の中の矜持として切る。真っ直ぐ切って「これ、お大師さんが食べはるんや」って思ったらやっぱりちょっと気持ちが違います。作っているものは一緒だけど、やっぱり気持ちの込め方というか・・・違うかなぁ。

Q 角濱ごまとうふのこだわりについて教えてください

A お坊さんの健康食品だったっていうところを考えると、やっぱり「胡麻豆腐」って体にいいもんじゃないとダメ。「人に良い」って書いて食なんですよね。点滴とかは別として、人は必ず口から栄養を取りますから、口に入るものはより自然でより体にいいものじゃないとやっぱりダメ。僕らはそう思います。

 高野山に毎年170万人くらいの方がお越しいただいていますけど、そういった方々が高野山に来て体に悪いものを食べて帰る。それってやっぱり高野山に来てもらった人に対して失礼だと思うし、お土産で買っていただく人もそう。お土産は最後の高野山やと思います。胡麻豆腐を開けて、食べて、高野山に行って良かったな。そう思っていただこうと思うと、やっぱりより自然なもの。うちは胡麻とでんぷん、吉野葛だけで作っています。ぜひ、昔から続く健康食を今の人たちにも知っていただきたいし、食卓の中のお手軽に摂れる一つの健康食として使っていただけたらいいなと思います。

Q カフェにはどんなメニューがあるのでしょうか?

A 基本的には「胡麻豆腐」をメインにしたお料理です。「胡麻豆腐」をいろいろアレンジしているんですよ。食べ物やから遊んだら怒られるけど、遊び心がちょっとはあって、天ぷらにしてみたり、カツにしてみたり、焼いてみたり、抹茶やピーナッツ入れてみたり。

 もしかしてデザートにできるんじゃないかと思って、「胡麻豆腐シェイク」を夏に出す予定です。そういう感じで「胡麻豆腐」の裾野を広げたい。この飲食店を通して、皆さんに「胡麻豆腐」って結構身近やなって思っていただいて、「胡麻豆腐」の価値や可能性を感じていただきたいです。

Q 今後の目標を教えてください

A 目標は、スーパーや百貨店の豆腐コーナーがありますよね。木綿や絹ごし、たまご豆腐が大体7〜8割を占めていて、「胡麻豆腐」はほんとちょっとだけ・・・。せめて3〜4割くらい占めて、「意外と胡麻豆腐いけるなぁ」って思ってもらい、それが広がっていけば、もっと「胡麻豆腐」を楽しんでいただける。楽しんでいただいて、美味しくいただいて、なおかつ健康に良い。これが一番いいんじゃないかなと思いますね。

お店の情報

  • 角濱ごまとうふ総本舗 飲食部門
  • 営業時間 9:30~17:00
  • 定休日 不定休
  • 電話番号 0736-56-2336
  • 住所 〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町高野山230

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